癲癇(てんかん)という病気を知っているだろうか。

てんかん(癲癇、英: epilepsy)は、脳細胞に起きる異常な神経活動(てんかん放電)のためてんかん発作をきたす神経疾患あるいは症状。 神経疾患としては最も一般的なものである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/てんかん

日本では約100万人の患者がいるそうだが、俺もそのうちの一人だ。

今回は、てんかんに罹った事による、患者ならではの様々な悩みをまとめてみる。

そもそも「てんかん」ってどんな病気?

神経疾患の一つであるそうだが、俺の場合の具体的な症状としては、突発的な痙攣や、ひどい時には急に意識を失ったりすることもある。

急に意識を失う強直発作が起きてしまうと、自分ではどうしようもない。
周囲の助けを借りる必要がある。

その前の予備発作として、ミオクロニー発作というものがある。
これは、手足が一瞬だけピクッと痙攣するもので、さらにその一瞬の意識が無くなる。

ミオクロニー発作が続くと、重度の発作に繋がりかねないので特に注意が必要だ。

てんかん発症の経緯

14歳・中学2年の大晦日、俺は38度以上の高熱で寝込んでいた。

俺には3歳下の弟がいて、その日の夜2段ベッドの上段に俺、下段に弟が寝ていた。

ここから先の記憶がなく、次に目覚めたのは元旦、病院のベッドでのことだった。

後で詳しい話を聞くと、まず弟が「お兄の様子がおかしい」と両親に報告にいったようだ。

両親が様子を見ると、俺はベッドで痙攣しながら白目をむき口から泡を吹いていたそうだ。

すぐに救急車が駆けつけ、そのまま病院へ搬送。

そして翌日、病院のベッドで目を覚ました。

診断の結果、てんかんの発作とのことだが、なぜ突然発作が起きたのかは未だ原因不明。
あくまで推測だが、高熱でうなされていたことが一因となっているような気もする。

学校のテスト中に2回目の発作

その後しばらくは発作もなく、平然と過ごしていたのだが、中学3年の夏ごろ2回目の発作が起きた。

この時は数学のテスト中のことだった。

シンと静まり返った中、黙々と答案用紙と向かい合っていたのだが、しばらくすると担当の教員から「おいっ、おいっ」と声を掛けられた。(掛けられたような気がするがこの辺から記憶がない)

次に目覚めたのは保健室のベッドだった。

この時も全く原因不明の出来事で、思春期だったこともあり、クラスの皆んなの前で失神したことがとてつもなく恥ずかしいことだと感じた。

一人暮らしを始めて3回目の発作

ここでは特に触れないが、以前書いた記事のとおり俺は中学3年の時に実家を出て大阪で一人暮らしを始めている。

大阪の「囲碁学園」というところで修行に励んでいた俺は、またしても癲癇の発作により病院へ搬送されることになる。

この時は囲碁学園の生徒同士、教室内で遊んでいる時のことだった。

年齢や学年もバラバラの10人前後で遊んでいたのだが、この時の記憶は全くない。

後で聞くと、その中でも年長者の生徒がすぐに先生を呼んでくれて、迅速な対処ができたようだ。

意識を失い、目を覚ますと病院のベッドで、熊本から駆けつけてくれた両親が俺の顔を覗き込んでいたのを覚えている。

その後も頻発するミオクロニー発作

病院で処方された抗てんかん薬を飲みながら、とりあえずその後は重度の発作が起きることはなかったが、一瞬手先が痙攣するミオクロニー発作はよく起きた。

てんかんの発作はどうやら寝不足が続くと起きやすくなるそうで、当時プロ棋士になるための修行で朝から夜遅くまで勉強していたことも影響したのだろう。

同じ症状の子を見かけたら

19〜20歳の頃、囲碁のインストラクターとして子どもの指導にあたっていた時期がある。

その生徒の中に、てんかんの発作(ミオクロニー発作)と見られる動きをしていた子がいた。

彼は中学生だったが、人差し指と中指で碁石をつまみ、碁盤に打つ時に一瞬ピクッと手先が動くのだ。

俺自身、全く同じ経験をしてきたのでこの時ピンときた。

教室の代表をしていた先生にこの事を伝えたが、その後その先生がどう伝えてくれたのかは分からない。

しばらくすると俺はその教室を辞め、別の職場で働くことに。
後日、聞いた話では、その彼はてんかんの重度発作により教室内で倒れ意識を失ったらしい。

同じ症状の子を見かけたら、自分の口から注意深く親や本人に説明するべきだったと反省した。

てんかんに罹ったことによる大きな制限

車を運転できなくなったことだ。

否、免許を取得することは本人の自由なので、その気になれば運転することもできるだろう。

だが、運転中に発作が起きることも当然あり得る。
もしそんなことが起きたら本人の危険は元より、他人に迷惑を掛けてしまうことになる。

実際にてんかん患者による交通事故も多い。

俺は無責任なことは出来ないので、免許は取らないことに決めた。

ただし、仕事やプライベートなどあらゆる場面で運転できないのは大きな制限となっている。

まとめ

てんかんの症状は人により様々だ。

俺の場合は処方された薬と十分な睡眠で、なんとか発作を抑えることができているが、中には薬では対処しようがなく、発作と長い間付き合っている患者もいるそうだ。

まぁ、罹ったものは仕方ないのでうまく付き合っていくしかないが、唯一気がかりなのは双子の息子のことだ。

息子たちに遺伝しない事をただただ祈るばかりだ。