前回の記事では、正規母集団の母平均、母標準偏差が分かっている状況の中、取り出したn個の標本平均を区間推定する方法を紹介した。
$$-1.96 \leqq \frac{\bar{x} – μ}{\frac{σ}{\sqrt{n}}} \leqq +1.96$$
上記の不等式を解いて、xバーを推定していくわけだが、詳しくは以下の記事を見て復習してくれ。
今回は正規母集団の母標準偏差、そして標本平均が分かった状況から、母平均の区間推定をおこなっていく。
いつもどおり身長を例にしよう。
母標準偏差が10の正規母集団から、25人の身長を計測し、その標本平均が176cmだったとする。
不等式に値を代入して、この式を解いていく。
$$-1.96 \leqq \frac{176 – μ}{\frac{10}{\sqrt{25}}} \leqq +1.96$$
$$-1.96 \leqq \frac{176 – μ}{2} \leqq +1.96$$
$$-3.92 \leqq 176 – μ \leqq +3.92$$
$$172.08 \leqq μ \leqq +179.92$$
上記の結果、母平均μの95パーセント信頼区間は「172.08cm以上、179.92cm以下」となる。
計算は簡単だっただろう。
前回の記事で使った不等式と全く同じものを応用するだけで標本平均から母平均を推定することができるのだ。
このような区間を求めることを母平均の区間推定という。
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