前回の記事では95パーセント予言的中区間による仮説検定の方法を説明した。
この方法では母数nを仮定して検証、といったプロセスを都度おこなう必要があった。
今回は、コイントスを例に10回表が出たという結果のみを知っている場合、母数n(コインを投げた回数)は何枚から何枚と考えられるか、という信頼区間をPythonを使って求めていく。
ではJupyter Notebookを立ち上げてコードを書いていこう。
95%信頼区間に該当する母数nを全て出力する関数を作ってみた。
import numpy as np def func_coin_interval_estimation(x): # 初期化 cnt = 0 print("コインの表が"+str(x)+"回出たときの母数nの95パーセント信頼区間\n") while True: # 母数nに1を加算し続ける cnt += 1 n = x + cnt # 平均値 ave = n / 2 # 標準偏差 std = np.sqrt(n) / 2 # 検定 z = (x - ave) / std # 検定した結果が95パーセント信頼区間に入れば出力、それ以外ならループ制御処理 if z >= -1.96 and z <= 1.96: print(str(n)+" : "+str(z)) elif z < -1.96: break else: continue
95パーセント予言的中区間による仮説検定をおこなう際の式は次のとおりだったはずだ。
$$-1.96 \leqq \frac{x – μ}{σ} \leqq 1.96$$
これを関数化し、検定した結果zが区間内に位置する場合、print関数で出力するといった内容となっている。
実際に作った関数を利用しコードを実行してみる。
# 表が出た回数 omote = 10 func_coin_interval_estimation(omote)

上記のとおり、区間推定の結果を得ることができた。
この結果を母数nの95パーセント信頼区間と言う。
今回紹介したサンプルコードではomoteという変数に、表が出た回数という結果を入れている。
omoteの値を100や500など別の値に変更しても、信頼区間を求めることができるので、各自で好きな値に変更して試してもらいたい。
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