よく受験生の話題などで偏差値というワードが表れるが、偏差値を正しく理解している人はどのくらいいるのだろうか。

ちなみに俺自身は中卒なので、受験戦争とは全く無縁の世界で生きてきた。
そのせいか偏差値という言葉を耳にしたことはあったが、意味を全く理解していなかった。

これまで統計学の基礎を学ぶ中で、データの集合から様々な平均値と標準偏差を調べる方法を理解した。
標準偏差を理解することで、偏差値の意味を具体的に理解できたのでその内容を紹介する。

標準偏差の特徴

まず、偏差値とは何か?を知る上で、標準偏差の理解が重要となる。

あるデータの集合の標準偏差を求める方法は以前の記事で取り上げた。

標準偏差とはデータの分布(散らばり具合)をみることができる統計量だ。

実際に標準偏差を使った、簡単なデータ分析の例を紹介しよう。

例えば、平均点が60点・標準偏差12のテストを受けた結果、70点を取ったとする。

標準偏差とは、平均値からの散らばり具合を平均化したものだったはずだ。

標準偏差の特徴として、平均値から左右ほぼ対称に曲線を描くヒストグラム(これを正規分布という)であるデータの集合の場合、平均値から標準偏差±1個分の範囲に位置するデータは、全体の約68%を占めるという特徴がある。

つまり、今回の例でいうと70点を取ることができたが、これは標準偏差1個分の範囲内(48~72点)に該当するので、全体から見ればそれほど高得点を上げれたとは言えないのだ。

次に同じテストで85点を取った場合を考えよう。

正規分布データでは、標準偏差2個分から外に位置するデータは全体のわずか約5%しか存在しないという特徴がある。

このことから今回のテストの場合は84点を超えると、全体から見た場合かなり高得点に該当するということが分かる。
逆に標準偏差2個分マイナスの38点以下の点数を取った場合は、勉強に対する姿勢を至急見直す必要があると言える。

偏差値はどうやって算出されるのか

さて、ここまで標準偏差の特徴が分かれば、偏差値の理解は簡単だ。

まず偏差値は平均値に対して50が与えられる。

次に平均値から標準偏差1個分高くなれば偏差値10を足し、1個分低くなれば偏差値10を引く。
これが偏差値の基礎的な考え方だ。

つまり、先の例で挙げた「平均点が60点・標準偏差12のテスト」の場合で72点を取れば偏差値は60ということになる。

偏差値を求める計算式を確認してみよう。

$$\frac{点数 – 平均点}{標準偏差} \times 10 + 50$$

例のテストで90点を取った場合の偏差値は下記のとおりとなる。

$$\frac{90 – 60}{12} \times 10 + 50 = 75$$

90点を取れば偏差値75となるので、かなり上出来だろう。

まとめ

偏差値の特徴として以下のことが分かる。

標準偏差の値が小さければ小さいほど、高い偏差値、低い偏差値ともに取りやすくなる。

つまり平均点が低く、点数のばらつきが少ないようなテストであれば、高得点を取ることで自分だけ高い偏差値を取ることができるということだ。

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