前回の記事で、第一志望企業の二次面接で落とされた話をした。
その時の落胆が大きく、しばらく転職活動を停止していたが、3ヶ月ほど経ったある日、リクナビNEXTでまた新たな求人を見つけた。
Webの受託開発を専門とし、主に企業のホームページを制作する会社だった。
社内の雰囲気などもSNSで公表されており、社員の年齢層も同年代くらいで、馴染みやすそうな雰囲気が感じられた。
場所も自転車で20分程度のところと近かったので、とりあえず応募してみた。
社長がひたすら2時間話す一次面接
面接は土曜日の昼間に行われた。
天気は快晴。
会社に着くと、明るい日差しが入る応接間に通された。
応接間の本棚は技術書で埋め尽くされており、求めていた環境に出会えた気がした。
面接を担当するのは大柄な体躯をしたラフな格好の社長。
年齢は30台半ばといったところだ。
通常の面接では、まず自己紹介や経歴の説明などから始まることが多いだろう。
しかしこの時の面接では、社長のこれまでの経歴や会社説明から始まった。
しかもこの説明はおよそ1時間半程、延々と続いた。
社内の風土や具体的な業務内容、そして残業代の発生しないブラック企業であること。
社員は毎日夜遅くまで残っていることなど赤裸々に語ってくれた。
これは入社後のミスマッチを防ぐために、あらかじめ理解した上で入社してほしいという意向だったらしい。
ちなみに俺はIT業界への転職において、いわゆるブラック企業への転職は覚悟の上だったので全く問題はなかった。
このような面接の中で、気楽な世間話のようにお互いの経歴を簡単に話し、気づけば2時間が経過していた。
最後に、休日で誰もいない事務所をぐるっと一周案内され、再び応接間に戻ると「このまま二次面接に進んでもらいます」と告げられた。
どうやら気に入ってもらえたようだ。
社内トップデザイナーによる二次面接
日を改めての二次面接は、Webデザイナーの社員が担当した。
細身で朗らかな30歳くらいの男性だ。
10分ほど簡単にお互いの話をした後「内田クレペリン検査」が行われた。
用紙一面に並んだ数字を30分間(15分ごとに休憩をはさむ)ひたすら足し算していくものだ。
この検査結果で、その人の性格などが分かるらしい。
検査が終わると、一次面接を担当した社長が現れた。
その場で採用通知をいただいた。
一次面接を終えた段階で社長との相性も良さそうだったので、この会社に入りたいと思っていた。
そのため喜びも大きかった。
その場で入社の意思を伝えると、具体的な入社時期の相談を行い1ヶ月後の入社が決まった。
なお、この時点で転職することは現職の人間には言ってない。
勝手な話だが、事前に契約書で「退社の際は2週間前に報告する」と確認していたため、法的にはセーフのはずだ。
こうして俺は、晴れてIT業界への転職を決めたのだった。