久しぶりに自分のことについて書く。

俺は中学3年の15歳のとき、囲碁棋士になるための夢を追い、一人で故郷である熊本を離れ大阪へ渡った。

詳細については以下の記事に書いているので興味があれば読んでくれ。

高校へ進学せず夢を追った結果、志半ばで棋士になる道を断念し夢叶わずとなったのだが、果たして15歳の時に決断した選択は正しかったのだろうか。

俺の中の結論は出ている。
あの時の選択は正しかったと思っている。
あの時、惰性の日々を送りながらとりあえず学歴を求め高校進学の道を選んでいたら、一生悔いが残っただろう。

さて今回は、これまでの人生を振り返って、夢を追うことのメリットについてまとめてみようと思う。

夢が叶えば万々歳?

俺の場合は囲碁棋士の道を目指したが、プロ野球やサッカーでもなんでも良い。

自分の好きな道を極め、結果夢が叶えば万々歳だ。

ただし夢を追うにあたって一つ注意すべきことがある。

俺の決断は15歳の頃で、とにかく「プロになりたい」という夢に向かって邁進していた。
「プロになったその先」までは深く考えていなかった。
これは夢を追うにあたって致命的なミスだった。

どういうことかというと、好きなことは趣味に留める分には楽しむことができるが、それに人生の全てを賭けて仕事にするというのは、とてつもなくツライことなのだ。

好きを極めると嫌いに辿り着く

大阪へ渡ってすぐに、毎日一日中碁盤に向かい勉強する生活が始まった。

当初は何にも縛られずに囲碁をやり続けられ、充実した日々を送っていた。

しかし、周りにも同じ年代の天才たちが地方から集まり、すぐに勝負の世界の厳しさを知ることになった。

厳しい世界の中で互いに切磋琢磨していく中で、徐々にメンタルがすり減っていき、ものの数ヶ月で大好きだったはずの囲碁の勉強が苦痛に感じるようになってきた。

これはその道を極めようとする者誰もが通る道だろうが、一流のプロたちはこれを乗り越えてプロになり、トップ戦線で活躍している。
この域まで達することができるのは、どの世界でもほんの一握りだが、一番の理想形でもある。

俺の場合、一度失ってしまった「純粋に楽しむ気持ち」を取り戻せず、苦痛の中で勉強量だけこなした結果、質の悪い勉強をおこなってしまい、年齢制限のためプロ棋士への道は絶たれてしまった。

夢が叶わなかった場合

自分が目指す道にもよるが、特に「プロ」と名のつくものを目指す場合、ほとんどの人は夢半ばで終わることになるだろう。

しかし肝心なのはここから。

俺もそうだったが夢が絶たれた直後、学歴も無いしこの後どうなるのだろう?と悲観した。

おそらく誰もが挫折した直後は極度のマイナス状態に陥るはずだ。

しかし安心してほしい。

心の持ちようで、仮に中卒だろうがこの先なんとでもなる。

数年の遅れはいくらでも挽回できる

俺の同世代で同じように棋士を目指したが、志半ばで断念した友人たちがいる。
例として彼らの現在までのキャリアを見てみよう。

友人A大学入学・卒業
リクルート入社
ITベンチャーで活躍
友人B料理の世界へ
現在大阪の人気店で店長として活躍中
友人C大学入学・卒業
プロ試験に再チャレンジしプロ棋士に
棋士と英語教室講師の兼業

俺たちが夢を断念したのが20歳前。

普通に高校・大学と進学した同級生に比べれば、この時点で数年の遅れを取っているが、いくらでも挽回できるのだ。

一芸に秀でる人は何にでも秀でることができる

何かのプロを目指すということは、いかに周りの誘惑に負けず一つのものに集中できるかが勝負である。

プロにはなれなかった俺も、都合3年ほど囲碁に集中して文字通り囲碁漬けの生活を送ってきた。

この集中して取り組んだ経験を持っていると、他の分野にも応用が効くのだ。

先程例に挙げた友人AとCは、囲碁の道を断念したあと、それほど期間を空けずに大学入学を果たしている。
二人とも当時の学歴は中卒だったが、修行時代に培った集中力で短期での入試合格に至った。

友人Bはその集中力を学業に向けず、料理の道へと注いだ。
結果、今では人気店の店長として活躍している。

俺の場合、この集中力を格闘技と仕事へ向けた。
結果、ブラジリアン柔術の黒帯を取得して道場の指導を任されるようになり、仕事ではプログラミングに熱中し、個人で仕事を取れるにうにもなった。

要は何かを志し極めようとした人は、その経験が糧となり、どの道でも応用を効かせて生きていくことができるのだ。

とはいえ弊害もある

学歴がなくてもなんとかなるとはいえ、もちろん弊害もある。

  1. 選択肢が少ない
    中卒を採用してくれる企業は日本では数少ない。
    友人たちのキャリアを見て分かるとおり、中卒でそこそこの収入を得ようとするなら、遅れながら数年かけて大学卒業を目指すか、学歴が問われない世界(職人や技術者など)で働く、もしくは自分で起業するか、選択肢はかなり狭くなる。
  2. もう一度挑戦をするのに躊躇してしまう
    夢を実現させる厳しさを身を持って体験しているため、新たな夢ができても挑戦するのにどうしても躊躇いができてしまう。
    あの時は何も知らなかったので勢いで行動ができたが、今では失敗経験がブレーキをかけてしまう。

学歴・学校の勉強は必要か?

結論、必要ないと思う。

もちろん「夢は公務員」だとか「官僚になりたい」など、明確な夢があれば学業を頑張る必要があるが、別のやりたいこと、好きなことがあれば、とことんその道を極めれば良いと思う。

仮に失敗しても努力した経験は大きな糧となり、その後の人生で遅れを取り戻すのは簡単だ。

特に、明確な目的を持たずに惰性で高校・大学を卒業した連中が相手なら、その努力した経験で得た集中力をもってすれば、2~3年で余裕で追い抜けるだろう。

自分の息子が、当時の俺のように15歳で同じようなことを言い出したら、自信を持って夢を追う道を進めるだろう。

中卒で失敗しても何とでもなるのだ。