統計学で使われるt検定で、必ず登場する「帰無仮説」と「対立仮説」。

今回はこの二つのワードについて解説する。

帰無仮説(きむかせつ)とは

t検定における帰無仮説は、例えばある二つの商品の評価に関する平均値を検定する場合、「母集団の平均値は等しい」が帰無仮説となる。

帰無仮説とは「無に帰する」つまり「なかったことにしたい」を案に期待した仮説で、本心では「平均値は等しい」を棄却して「平均値に差がある」と言いたいわけなのだ。

製品Aの評価の平均値と、製品Bの平均値を使って帰無仮説を数式で表すと以下のようになる。

$$H_{0} : μ_{1} = μ_{2}$$

数式では帰無仮説をH0で表す。

対立仮説とは

対立仮説は帰無仮説に比べて回りくどくない。

帰無仮説の真逆の説のことを対立仮説と言い、帰無仮説が一定の条件により棄却された時に対立仮説が採用される。

帰無仮説を棄却した時に考えられる可能性は、単に「平均値に差がある」か「製品Aの評価が高い」あるいは「製品Bの評価が高い」と、3つの可能性が考えられる。

対立仮説は数式でH1で表されるので、以下の3つが対立仮説の候補として挙げられる。

対立仮説1: 製品の評価値は等しくない→両側検定をおこなう

$$H_{1} : μ_{1} \neq μ_{2}$$

どちらが大きいかどうかでなく、ただ異なると言いたいだけの時は両側検定をおこなう。

対立仮説2: 製品Aの評価が高い→片側検定をおこなう

$$H_{1} : μ_{1} > μ_{2}$$

対立仮説3: 製品Bの評価が高い→片側検定をおこなう

$$H_{1} : μ_{1} < μ_{2}$$

片側検定については、元々の製品A、製品Bの評価値によってどちらの片側検定をおこなうかが異なる。

例えば製品Aの評価が高いという条件下で、帰無仮説が棄却された場合に対立仮説3を採用するのはおかしいので、対立仮説2の片側検定をおこなうようにする。